8/14/2016

単なる連想

棒高跳びを見ていた。
ポールがケースに入って積まれているのがテレビに映った。
あれはまるでハングがケースに入って積まれているのにそっくりだ。
そう考えるとドキドキしてくる。
このドキドキはいろんな時に出てくる。
ちょっと高いところに行って前から風が来る時。
崖っぷちに立った時。
鳥が滑空して降りてくるのを見る時。

忘れないように時々書いておこうと思う。

朝6時前に起きて、テレビの天気予報を見る。
たいていは渡辺さんが解説している。
風向きと強さ、それに今日の天気を確認して、行けそうだったら準備をする。
ハーネスのケースにヘルメットとタイヤが入っているかを確認して、
手袋とサングラスも入れる。
それを持ってガレージの車に行き後ろの席に積む。
車を外に出して、フロントにステーを立てる。
ステーはパイプで作った自作のもの。
強力なマジックテープでバンパーに取り付ける。

それからケースに入ったハングをガレージから担ぎ出し、車の上に載せる。
車の屋根にはスキーヤリアを固定しているので、そこと前のステーに
ゴムで縛り付ける。
プロシード・マビーだと前後にはみ出す部分はあまりない。
固定されているのを確認して車を走らせる。

首都高に乗り常磐道に向かう。
途中空の様子が気になる。
曇りはいいが、雨はだめだ。
ハングを積んでいるとあまり早くは走れない。
外れたことはないが、バタつくことはある。

足尾のスクールに着くとかなりの人がもう山に向かおうとしている。
知り合いに声をかけ風の様子を聞く。
いつも一緒になる大学生の女性がいる。
目が合うと会釈する。とてもかわいらしい人だ。
でも筑波大の学生らしいということ以外何も知らない。
親しいハングの仲間とバカ話をする。
それからショップに行って山に登るため名前を書く。

そこからが問題なのだが、
スクールのマイクロバスに余裕があるときはなんとか載せてもらえる。
そうでない時、あるいはすでに出発直前の場合は積んでもらえない。
その時は、知り合いで車で山に向かう人を見つけて載せてもらう。
それもできない時は自分の車で山に向かうが、
たいてい誰か便乗する人がいるのでその人のハングも積んで
山に向かう。

テイクオフのあたりはハングで埋まっている。
その手前か通り過ぎたあたりに車を停めて、とりあえずハングを下す。
下したハングはそのままにして車を駐車場までおろす。
駐車場はテイクオフから歩いてちょっとある。

ハングに戻って空いている場所を探してそこまで担いで運ぶ。
空いているのはたいていはずれの方だ。
冬場はけっこう雪が積もっていたりする。

ハングを組み立てるのは一種の儀式だと思う。
他の仲間にそう言ったら、自分もそう思っていると言っていた。
一連の作業を毎回全く同じように行う。
逆に言えば、全く同じように行わなければいけない。

まずケースのチャックを開けて、バテンの束を取り出し、ハングの機体を出す。
アップライトを広げて機体を起こす。
両翼を7部ほど広げる。
私の場合、バテンをまず右翼内側から入れて行く。
入れながらいつも思うことは「こんなゴムで本当に固定できてるのか?」ということ。
両翼にバテンを入れたら、ノーズのバテンを前から差し込み、カバーをする。
そして…名前が思い出せない…
クロスバーをキールに留めるワイヤー(何て言ったろう?)をガチョンと留める。

ちょっとまて、ノーズバテンはセールを張ってから入れるのか?
張る前か?
なんとなく張ってからのような気がする。
いや張ってからだろう。風のある時は誰かにキールを支えてもらって
よいしょと入れたように思う。
それからタイヤを付けて、バリオ(高度指示器)を付ける。

ハーネスは広げてハングにカラビナで吊るしておく。
ケースもたたんでハーネスに入れておく。

それからハングは置いておいて、テイクオフのランチャーまで歩いて行く。
そして他の人にテイクオフの様子を見る。
風の強や、皆がどこに向かって飛んでいくかも確認する。
と言っても私の場合はパラがたくさん飛んでいるいわゆる「パラマエ」
には行かず「サルカベ」と呼んでいた峰の方に向かうのが常だった。

私はいつもランディングの風向きが読めないので、テイクオフ前に
確認しておくか、スターターの人に聞いておく。
微妙な風向きの場合が困る。

それから自分のハングに戻る。
ハーネスに左足から入り、右足、そして前のジッパーを留め、
レスキューパラシュートを胸の前にジッパで固定する。
たぶん全体で30キロを超えると思うが、あまり重くは感じない。
ヘルメットをかぶって、テイクオフに向かうハングの列に並ぶ。
その時が一番辛い。
中腰で機体を持ち上げて少しずつ歩かなければいけない。

自分の順番が来る。
スタータの人はたいてい知ってる人なので挨拶をかわす。
その日の注意をくれる。
風の状態が良くない時はまたなければいけない。
記憶では長く待たされた時はあまり無かったように思う。

風が強めの時は誰かが支えてくれて、
2歩ほど歩いた時にはもう機体は浮いている。

風が弱い時は、とにかく走る。
ハングを始めた頃は変な癖があって良く怒られた。
それは、なかなか浮かないと自分でノーズを持ち上げてしまうことだ。
そうすると失速して飛べないか不安定になる。
それで自分で飛び出し方を決めた。
目はノーズから離さず、機体の角度を変えない、
そのまま走り始め機体が浮いても足は止めない。
これでほぼ100%安全に出ることができるようになった。

ここまで書いていて、もうドキドキが止まらない。
あの気持ちのいい興奮と緊張状態だ。
もう一度飛びたい。
できるなら。